
こめかみが両方痛くて辛い



こめかみの頭痛が薬を飲んでも治らない
このように、こめかみが両方痛い頭痛、痛み止めを飲んでも頭痛が治らない。この頭痛は緊張性頭痛かもしれません。
こめかみを締め付けられるような・圧迫されるような痛み、と表現される頭痛は、頭部や首・肩の筋肉が緊張、姿勢の悪さが原因で引き起こされます。
頻度によって対策が変わってきますので、今から解説していきます。
慢性的なこめかみが両方痛くなる頭痛(緊張性頭痛)は、痛み止めやボトックスが効きづらいと言われていますが、その理由と解決策も知ることができます。



まずは、あなたの頭痛がどのタイプの緊張性頭痛か、チェックしてみましょう。


筆者プロフィール
鍼灸師・柔道整復師
中野 妥昭(なかの やすあき)
柔道整復師取得後、整形外科に勤務。整骨院開業後は国民体育大会(競泳競技)にトレーナー帯同。自身も競泳で腰や膝を痛めて、リハビリに通院していたことから治療院に興味を持つ。未だに左膝は悪く、自分の体で実験をしながら、良いものを患者さんにフィードバックしています。
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こめかみが両方痛い頭痛の原因


こめかみが両方痛い頭痛は、頭の周囲の筋肉や咀嚼(そしゃく)筋(側頭筋・咬筋、内外翼突筋)、僧帽筋、胸鎖乳突筋などの筋肉が緊張することが、1番の原因です。
また姿勢の悪さ(猫背など)が上記の筋肉の緊張を招くこともあります。
いずれにしても頭や首の筋肉が緊張することで、痛みを感じる経路を活性化してしまい、痛みを感じやすくなります。
ただし末梢型と中枢型があり原因が違います。
末梢型緊張性(こめかみ)頭痛の原因


首肩・頭の筋肉が緊張する
痛みの経路を生理学的に詳しく
サブスタンスP・グルタミン酸分泌→N-メチル -D-アスパラギン酸(NMDA)受容体が刺激される→酵素活性化→発痛物質(プロスタグランジンE2・セロトニン・ブラジキニン)分泌→痛み感じやすくなる
痛覚過敏になる
肩(僧帽筋)を押すと痛み(圧痛)が出る
この末梢型は稀発性と頻発性の緊張性頭痛のメカニズム(原因)と考えられています。
稀発性は月1回未満、頻発性は月1〜14日程度の頭痛が起こる場合で、吐き気は無いか少しだけ。光・音への敏感さは、緊張性頭痛では、ほぼないと言われています。
もし、吐き気と光もしくは音に敏感になることがあるなら、片頭痛の中間型もしくは移行型と言われています。
中枢型緊張性(こめかみ)頭痛の原因


中枢型は、慢性的にこめかみの(緊張性)頭痛を感じるようになった場合の原因です。
末梢型は筋肉に近い神経(末梢神経)由来だったのに対して、中枢型は脳のある部位が問題で、痛みを引き起こすと考えられています。
中枢型の緊張性頭痛は、脳から痛みを抑制するシステム(下行性抑制系)に異常があると考えられており、頭痛の回数が増えるにつれて、痛みを抑えにくくなるようです。
さらに中枢型で怖いのは、他の部分の痛み(例えば腰痛など)にも影響があることです。慢性型に移行しないように早めの対処が必要です。



ちなみに、慢性型になるとボトックスで筋肉の緊張を和らげることはできても、頭痛は改善しないと言われています。
こめかみが痛い(緊張性)頭痛の症状


反復性も慢性も月に感じる頭痛の回数に違いはありますが、基本的に両側で起こる締め付けられるような頭痛・圧迫されるような頭痛で、数分〜数日続く場合があります。
吐き気や、光・音に敏感になることは少ないと言われています。
ただし、特に吐き気がある場合は片頭痛の疑いか、移行型・中間型であると考えられます。
なお動きの変化で頭痛が変化することはないと言われています。
緊張性頭痛 種類 | 頭痛の頻度 | 痛み | 吐き気 | 光・音 過敏 |
稀発性 | 3ヶ月平均で月1回未満 (年12回未満) | 両側に 圧迫感 締付け感 | ない | あっても どちらか |
頻発性 | 3ヶ月平均で月1回以上15回未満 (年12〜180日未満) | |||
慢性緊 | 1ヶ月で15回以上 (年180回以上) | あっても 光、音、吐き気の いずれか |
こめかみを押すと痛い


緊張性頭痛は、筋肉の緊張や痛みへの敏感さが増す、痛みを抑制するシステムの異常などが起こっているので、こめかみや肩を押すと痛み(圧痛)を感じやすいです。
月15日未満の緊張性頭痛では、頭の周囲や首肩の緊張や痛み。月15日以上では、痛みを抑制できなくなるので、頭痛だけでなく、腰痛などの痛みにも影響が起こる場合があります。
右(左)のこめかみの頭痛


緊張性頭痛は基本両方に頭痛を感じるので、右(左)のこめかみだけが痛い場合は、片頭痛の可能性があります。
脈を打つようにズキンズキンと痛くないか、など確認してみてください。また片頭痛の場合は前兆や光や音、匂いなどにい敏感になるなど、頭痛に伴う症状もあります。
反対に緊張性頭痛では、あまり他の症状は伴わないと言われていますが、0ではありません。
伴う場合は軽度と言われていますが、軽度でも伴う緊張性頭痛は、片頭痛へ移行することもあるので、頭痛の頻度が少ないうちにケアが必要です。
こめかみの頭痛で目の奥が痛い


目の奥が痛い頭痛の場合は群発性頭痛の可能性が考えられます。女性よりも男性が3〜7倍多いと言われる頭痛で、目がえぐられるように痛いと言います。
また鼻水や涙など自律神経系の反応が起きたような症状も伴うことが多いです。
群発性頭痛は頭痛が起こる頻度なども上記の表と照らし合わせてみてください。
こめかみの頭痛、これ脳梗塞?


- ろれつが回らない
- 同じ側の手足がしびれる
- 力が入らず物を持ち続けられない
- 簡単な計算ができない
- 片方だけ顔が歪む
このような症状が1つでもある場合、脳梗塞の可能性があります。今すぐ救急車で病院へ向かってください。他にもこれまでに感じたことのない頭痛なども危険ですので、少しでも不安な場合は病院を受診されてください。
こめかみ(緊張性)頭痛の改善方法
痛み止め(薬)が第一選択に


両方のこめかみが痛くなる緊張性頭痛の場合、頻度によって改善方法が違いますが、基本は頭痛がある時(急性期)は、痛み止めを飲むことが一番目の対策となります。
ただし、痛み止めに頼りすぎることによって、薬剤使用過多性頭痛になることも。ですので緊張性頭痛は予防することが、とても重要です。
予防でも薬が使われますが、副作用の心配などから少量からの開始となるなど、注意が必要です。
いずれにしても、薬での改善や予防は、別の頭痛の引き金になったり、副作用などの心配がつきまといます。
薬以外の緊張性頭痛の改善方法


薬以外では、瞑想や運動療法、筋電図フィードバックなどの改善方法がありますが、やや専門的です。
手軽に行えるのは首や肩、背中の筋肉のストレッチや姿勢トレーニングです。
姿勢トレーニングと聞くと、これも専門的なのでは?と感じるかもしれませんが、まずは同じ姿勢が続かないように、まめに背伸びをしてり、簡単なストレッチで良いので、おこなってみるのが良いでしょう。



良い姿勢も長時間続くと筋肉には負担(悪い姿勢)になります!
鍼灸治療なら副作用もなく安心


こめかみが痛くなる緊張性頭痛は、頭の周りや首肩の筋肉の緊張、悪い姿勢によって、痛みに敏感になったり、痛みを抑えるシステムが働きにくくなったりして起こります。
ですので、鍼やお灸で筋肉の緊張をほぐしていくことや、肩こりを引き起こす体質を改善していくことで、慢性的な肩こりを軽減していく効果が期待でます。
また鍼灸治療では、下行性抑制系(中枢型で既出)の活性化が認められているので、慢性的なこめかみの痛みにもアプローチできます。
もちろん突然、薬をやめて鍼灸にシフトするのは良くありませんが、併用することで、徐々に薬を減らすことが期待できます。
それに大きな副作用などありませんので、安心して受けていただけます。
慢性的な頭痛には体質が関係
これまでお話したように、首肩の緊張・こりが頭痛に影響します。東洋医学では、慢性的な肩こりは、瘀血(おけつ)という血の塊が原因と考えることがあります。
瘀血が作られるのは、エネルギーや血の不足、普段イライラしやすいなどの体質が原因です。この体質を改善していくことで、徐々に慢性的な肩こりが改善され、頭痛にも良い影響がでることが期待されます。
鍼灸治療後に頭痛が…
頭痛の場合、状態によりますが、直接痛みのある場所に鍼をしていくことで、あとから片頭痛のような痛みがでることがあります。
血流が良くなることや自律神経系のバランスが一時的に乱れたりすることで、起こると考えらます。どうしても痛い場合は、頭部を冷やす・ゆっくり休むなど試みてください。
あまりに酷い場合は、ご連絡ください。
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