片頭痛の鍼灸以外の予防方法・予防効果を鍼灸師が解説します。
この記事では…
- 片頭痛の鍼灸以外の予防
- 片頭痛の誘因
- 片頭痛の時に鍼灸治療をしても良い?
などが理解できます。最後まで、ぜひお読みください。
筆者プロフィール
鍼灸師・柔道整復師
中野 妥昭(なかの やすあき)
柔道整復師取得後、整形外科に勤務。整骨院開業後は国民体育大会(競泳競技)にトレーナー帯同。自身も競泳で腰や膝を痛めて、リハビリに通院していたことから治療院に興味を持つ。未だに左膝は悪く、自分の体で実験をしながら、良いものを患者さんにフィードバックしています。
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なお「こめかみが痛い頭痛(緊張性頭痛)」に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
鍼灸以外の片頭痛の予防法
鍼灸で出来る片頭痛の予防は、ストレス解消・ホルモンバランス・自律神経系の乱れ(天気の変化への対処/睡眠障害)・首の痛みなどの解消をサポートできます。
ダイエットによる急激な絶食、食品添加物、アルコール、タバコなどの煙、夜ふかしなどは、ご自身でコントロールできるものが多いので、生活習慣を少しずつ改善してみてください。
片頭痛の予防に漢方
五苓散・桂皮加葛根湯・小建中湯・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・桂枝茯苓散(けいしぶくりょうさん)・加味逍遙散(かみしょうようさん)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
参考:頭痛の診療ガイドライン2021に記載されているものを一部抜粋
女性ホルモンや月経(生理)とも関係のある片頭痛なので、生理痛の酷い方、更年期障害のある方などは、漢方も予防や改善のために併用してみると良いでしょう。
鍼灸もそうですが、漢方は体質に対して処方されますので、効能だけを見て「とりあえずコレかな」ではなく、専門家に相談することがお勧めです。
かかりつけ医、薬剤師・登録販売者などの方々に相談してみてください。
片頭痛の予防にハーブ・サプリ
フィーバーフュー(和名:ナツシロギク)というハーブやマグネシウム(Mg)、ビタミンB2・コエンザイム-Q10は、欧米では予防に対するエビデンスがあります。痛みが出たらというよりは、習慣的に摂取することで、片頭痛の緩和が期待できます。
フィーバーフュー(ナツシロギク)
フィーバーフュー(ナツシロギク)に含まれるパルテノライドという成分が、血小板セロトニンを抑制して片頭痛を緩和してくれると言われています。
ですので、予兆や前兆、また予防として取ることがお勧めです。エビデンスはないですが、欧米では頭痛発症時にも摂取されているようです。
ただし、子宮収縮作用があるので、妊婦さんは摂取してはいけません(禁忌)。
マグネシウム(Mg)
片頭痛のある方は、血液中や脳内のマグネシウム濃度が低いという報告があり、マグネシウムを摂取したことで片頭痛の緩和が見られており、有効だとされています。
マグネシウムの過剰摂取は問題になりくいですが、下痢をしてしまうことがあるので、注意が必要です。
マグネシウムを含む食品は海藻類・豆類など比較的、スーパーで購入しやすいものが多いです。
ビタミンB2・コエンザイムQ10
この2つも、片頭痛のある方では濃度が低いことが報告されており、マグネシウム同様、摂取することで比較的、有効とされています。
コエンザイムQ10は、エネルギーを作るのに必要な栄養素ですが、青魚や豆類から取れるものの限界があるので、サプリを併用することがお勧めです。
頭痛ガイドラインによると、欧米ではフィーバーフュー(和名:シロナツギク)と生姜(しょうが)を合わせたハーブティーで、片頭痛の予防(エビデンス有/弱)や緩和(エビデンス無)のために飲まれているようです。
このサプリはどちらも配合されていますし、マグネシウム・ビタミンB2まで配合されているオールインワンサプリ。
イライラ抑制が期待される陳皮も配合されています。一度、試してみては、いかがでしょうか。
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片頭痛が起こる原因(誘因)
片頭痛が引き起こされる原因(誘因)は多岐にわたります。
ストレス(79.7%)、女性ホルモン(65.1%)、絶食(57.3%)、天気(53.2%)、睡眠(49.8%)、におい(43.7%)、首の痛み(38.4%)、光(38.1%)、アルコール(37.8%)、煙(35.2%)、夜ふかし(32.0%)、暑さ(30.3%)、食品(26.9%)、運動(22.1%)および性活動(5.2%)
頭痛の診療ガイドライン2021(PDF) 一部漢字を編集
この原因を片頭痛あるの方は平均6〜7個が原因となります。片頭痛では「におい」が特有の引き金になるようです。
こうしてみると、対処しようと思えば対処できるものも多いように思えます。
反対に女性ホルモンや天気、暑さなどは、体質の影響などもあるので、改善には時間がかかりそうですね。それでも根気良く生活習慣を改めていくことが、とても大切になっています。
最近では甲状腺機能の低下も誘因とされていますので、代謝が悪いな…と感じる方は一度検査をしてみても良いかもしれません。
その他、具体的な予防や生活習慣改善に関しては、あとで詳しく解説します。
片頭痛が起こる仕組み
片頭痛はこれまで血流の増加で起こると言われていましたが、血流が減少する時期から頭痛が発生することも報告され矛盾が指摘されています。
現在は、神経説・セロトニン説・三叉神経血管説が仕組み(メカニズム)として考えられています。
片頭痛の神経説
大脳の一時的な興奮や抑制が生じることで片頭痛や予兆・前兆が起こるとする考え方です。
片頭痛のセロトニン説
これは血小板が放出されるセロトニンが減少していることが見つかったため、セロトニンを投与したところ、片頭痛発作が止まったことで、セロトニン説が考えられています。
ただし、セロトニンは副作用が強いため、片頭痛の治療薬にはなっていませんが、セロトニンの受け皿が片頭痛に関与していることも明らかになっているので、こちらに作用する片頭痛薬(トリプタン)があります。
片頭痛の三叉神経血管説
なんらかの刺激で血管に広がっている三叉神経が刺激されると、神経ペプチド(CGRP・サブスタンスPなど)が分泌されて、神経由来の炎症が起こります。
その結果、血管が拡張したり、脳に伝わることで吐き気などの自律神経性の症状を伴うと言われています。
東洋医学的な片頭痛の原因
片頭痛は体の水分の停滞
東洋医学では体がむくんでいると、片頭痛が出やすいです。
体がむくむ体質は、胃腸の不調が多いです。またイライラなども気の流れが滞ることで起こり、その結果、水分代謝がうまく機能せず、むくみます。
このタイプの頭痛では、側頭部〜顔面部や後頭部、頭頂などに痛みがでることがあります。
その他の症状としては、耳鳴り、排尿・排便時にしみる、肛門がかゆい、めまい、顔面部のピリピリ感、口の中が苦いなどの症状を伴うことがあります。
片頭痛の鍼灸治療
片頭痛の第一選択は頭痛薬ですが、鍼灸は薬を使いたくない人、少しずつ薬の量を減らしたい人、妊婦さんや子供など薬の使用が難しい方に、おすすめです。
片頭痛は局所への治療は避けるべき?
三叉神経血管説から考えると、局所への鍼灸治療はなるべく避けておいた方が良さそうです。
片頭痛の痛みがある場所、それに伴う他の症状と照らしながら、どのツボが効果的か判断します。
また局所のツボは使わずに、手足のツボを使った遠隔での鍼灸治療になることが、ほとんどです。
セロトニン説から考えると、鍼灸治療でも同じようにセロトニンが分泌されると言われていますので、長時間の鍼灸治療は避けておいた方が良さそうです。
なので、もし片頭痛が出た時に鍼灸治療を受けるなら、短い時間で受けることが良いでしょう。
鍼灸院Livingでは、鍼灸ショート(ぎっくり腰や寝違え)を選んでいただけると良いです(鍼灸ショート選択後、コメント欄に片頭痛の治療希望とお書きください)。
片頭痛予防のまとめ
片頭痛の予防は、習慣・食生活など見直し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
また日々のストレスも溜め込まないように、注意していきましょう。
バランスの良い食事を心がけても、胃腸系が整っていないと栄養にすることはできません。そんな時は体質を整えていくことも大切です。
セルフケアに鍼灸治療も加えてみてください。
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