鍼灸師が耳鳴りの6つの原因と対策を解説します(耳自体に原因があるものは今回は割愛)。
鍼灸師が耳鳴りになった時にした対策の話もあります。
耳鳴りは東洋医学的には湿気が大きく影響します。耳鳴りがでやすく、体がむくみやすい方はぜひ最後までお読みください。
筆者プロフィール
鍼灸師・柔道整復師
中野 妥昭(なかの やすあき)
柔道整復師取得後、整形外科に勤務。整骨院開業後は国民体育大会(競泳競技)にトレーナー帯同。自身も競泳で腰や膝を痛めて、リハビリに通院していたことから治療院に興味を持つ。未だに左膝は悪く、自分の体で実験をしながら、良いものを患者さんにフィードバックしています。
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耳鳴りの原因
耳自体に原因がある場合と、耳には異常はないけど、耳鳴りを感じてしまっている場合があります。
外耳炎や中耳炎、難聴、メニエール病など、耳に原因がある場合はもちろん、高血圧や脳腫瘍、脳梗塞などの病気が原因で耳鳴りが起きている場合、そのほか、ストレスや老化が原因の場合もあります。
引用元:一般社団法人 千葉市医師会
今回は耳に異常がないけど、耳鳴りを感じてしまっている方の原因を解説しています。
1 | 首のこりが耳鳴りの原因に?
原因が不明(耳に異常がない)な場合で、たまにあるのが首の筋肉のこりによって、耳鳴りやめまいが起こることがあります。
特に胸鎖乳突筋という喉の辺りから、耳の後ろに伸びていく筋肉が硬いとなりやすいです。
筋肉の緊張が皮膚や筋膜を伝って、耳にイタズラして耳鳴りやめまいを引き起こすと考えられます。
肩こりがひどい方やデスクワークで姿勢が悪く、顎が前に出て猫背気味になる方は注意が必要です。
対策
- まずは耳鼻咽喉科が耳に異常がないか確認してもらう(共通:以下、記載しません)
- 姿勢を良くする(顎をひく)
- 同じ姿勢が続かないようにする
2 | ストレスが耳鳴りの原因に
ストレスで耳鳴りが起こることがあります。
耳鳴りに限らずですが「ストレスが原因ですね」と言われた場合のほどんどは、原因は分かりませんと同じ意味だと思ってください。
東洋医学的にはストレスでイライラがたまると滞りができ、耳鳴りに発展すると考えます。
『肝胆湿熱』『小腸湿熱』など精神的な部分と関わるところの滞りによる耳鳴りです。
対策
- 定期的にストレス発散
- 体が浮腫まないようにする
- 続く場合は鍼灸治療を受ける
3 | 自律神経の乱れによる耳鳴り
睡眠不足などで自律神経が乱れてくると、耳鳴りがでることもあります。
血圧や血流、ホルモンバランスの乱れなどが起こり、耳鳴りに発展すると考えられます。
自律神経が乱れると体がむくみやすくなりますが、このむくみが影響しているかもしれません。
東洋医学的には自律神経系は肝経と言われることもあり、2 | ストレスが耳鳴りの原因にと繋がる部分でもあります。
耳鳴りのせいで眠れない、眠れないから自律神経が乱れるなど負のループがあれば、早めに耳鼻咽喉科や鍼灸院で相談することがおすすめです。
対策
- 睡眠のリズムを整える
- 体が浮腫まないようにする
- 続く場合は鍼灸治療を受ける
4 | 老化や疲れによる耳鳴り
東洋医学で老化は腎虚(じんきょ)と言います。
詳しい説明はここでは割愛しますが、腎の気が減ると耳鳴りだけでなく、諸々の老化現象が起こります。
腎虚タイプの耳鳴りは、改善に時間がかかることも多く、根気が必要です。
1日でも早く鍼灸治療を開始してあげる必要があるので、耳鳴りに加えて、疲れやすい、足腰がダルい、抜け毛が気になる、白髪が増えたなど気になるようでしたら、すぐにご相談ください。
対策
- 疲れを溜め込まないようにする
- 胃腸の調子を整える
- 耳鳴り以外の症状も気になる場合は早めに鍼灸院で相談する
5 | 副鼻腔炎から耳鳴りになることも
副鼻腔炎も耳に関わってきます。
慢性的な副鼻腔炎になると、鼻をすすったり、力強く鼻をかんでしまい、耳に負担がかかってしまうからです。
副鼻腔炎になったら、すぐに耳鼻科に行くなど対処してください。
なお、僕の経験では、副鼻腔炎は頭にお灸を直接する(注)と、良いことがあります(体験済み)。
(注)頭に自分でお灸はしないでください
東洋医学では、副鼻腔炎は湿気が溜まり熱(湿熱)を持つと悪化します。
副鼻腔炎かも、と思ったら、お酒や脂っこいもの乳製品などは避けておくと良いでしょう。
対策
- 副鼻腔炎かもと思ったら耳鼻咽喉科へ
- 湿熱を溜め込まないように注意する
- 続く場合は鍼灸治療を受ける
6 | 東洋医学的には湿熱かも
これまで解説した1〜5の原因で、気づいたかもいらっしゃるかもしれません。
原因不明(耳に問題がない)耳鳴りは、体に湿気がたまりやすい体質だと、耳鳴りを感じやすいといえます。
肝胆湿熱、小腸湿熱と言ったりますが、耳周りに集まるツボと関係のある経絡(ツボの通り道)に湿気が溜まると起こります。
梅雨時期に耳鳴りが気になる
梅雨に限らず、雨の日などに気になるなどありませんか?
これは先ほどお話ししたように、湿気がたまりやすい体質の方に起こりやすいです。
湿気が溜まりやすいのは、根本の原因として胃腸(脾経)の問題が関係しています。
脾経は、喜燥悪湿(きそうおしつ)といって、乾燥を好み、湿気を嫌います。
つまり雨の日は湿気が多いので、脾経の働きが鈍るんです。
脾経は湿気を流す役目もあるため、働きが鈍ると余計に体に湿気が滞り、耳鳴りの症状が出ると考えられています。
一度、天気と耳鳴りの関係をチェックしてみてください。
鍼灸師の僕が耳鳴りになった話
実は、僕(39歳:2023年5月時点)も耳鳴りが2022年に入ってから起こるようになりました。
朝起きて料理をするために、火をつけようとコンロのスイッチを押した時の「カチカチカチ」という音に共鳴するように耳鳴りがします。
治療中も隣の部屋で、お灸に火をつけるためにライターをカチカチする音が響く…。
今年(2023年)に入って耳鳴りが大きくなったので、聴力検査をしにいったら、2022年より聴力は良くなっていました。鼓膜の状態も問題なし。
でも、カチカチカチに共鳴して耳鳴りが…その時は抗うつ剤飲みますか?と言われました。
朝も一人だと気にならないのですが、家族がいると気になります(対人ストレス?笑)。
寝不足が続いたり、イライラが続くと音が大きくなります。
また元々、湿気が溜まりやすい体質も加味されて、お酒の飲みすぎて朝起きると耳鳴り…という風に、やや僕の場合は体質の影響が大きいのかもしれません。
僕が耳鳴り改善のためにしたこと
僕の耳鳴りはガスコンロの音や子供の声が響く耳鳴り(高音)のタイプです。
原因のところでもお伝えしたとおり、僕の耳鳴りも主な原因は湿気だと判断しました。
ですから、体の湿気を取り除くことと、イライラを溜めない=リラックスする時間を作ることを意識しました。
また睡眠不足の時は特に酷く感じたので、睡眠の質を上げること。具体的には…
- お酒の量を減らす
- 飲み終わってから寝るまでに時間をしっかり取る
- お腹いっぱいで寝ない
- 寝る前に意識的に力を抜くように心がける
- 自分にとって良い睡眠リズムを見つける
- お灸を2〜3日に1回する
この6つを意識するにしたら、いつのまにか収まっていました。お灸は結構、継続的に頑張りました。
耳鳴りが気になっていた期間は半年以上かかっていると思うので、気になる方は早めに相談してください。
個人の感想であり効果を保証するものではありません
耳鳴り、まず耳鼻咽喉科へ
耳鳴りを感じたら、まず病院(耳鼻咽喉科)で、耳(鼓膜など)の状態や聞こえの検査を受けてください。
特にめまいを伴う耳鳴りの場合は、できるだけ早期に耳鼻咽喉科受診をおすすめします。
耳に問題がない場合でも、脳に問題があることもあります。
あまりにも長期化しそうであれば、脳神経外科受診も検討しましょう。
僕のようにある音程に過剰に反応したり、反対にある音程は聞こえづらくなるなど、少しでも耳の聞こえに違和感があれば一度検査をしておくと良いでしょう。
僕のように、聞こえには全く問題ないことだけでも分かれば結構安心ですよね。
耳の聞こえ、鼓膜や神経の状態を確認していただき、適切な治療(投薬など)を受けましょう。
耳に問題なければ鍼灸
耳に問題がなかったけど、耳鳴りが気になる…という方は、漢方を処方していただいたり、耳鼻咽喉科と併用しながら鍼灸治療を進めていくと良いです。
もちろん突発性難聴やメニエール病なども、耳鼻咽喉科と併用していただくことは可能ですので、ご相談ください。
耳鳴りの対策とまとめ
耳鳴りの原因の多くは湿気とイライラです。
また実年齢よりも老化が進んでしまっていることもあります。
まずは生活習慣を整え、湿気を体に溜め込まない・適度な運動などでストレスコントロールすることです。
その結果、老化を遅らせることもできます。
余裕があれば、自宅でお灸をするのも良い習慣です。
それでも改善に向かわない場合は、鍼灸院での局所治療や耳鼻咽喉科での投薬(漢方)のどちらか一方ではなく併用することがおすすめです。
理想は鍼灸治療+耳鼻咽喉科+運動やお灸などのセルフケアができると素晴らしいですね。
耳鳴りは今すぐ相談してください。
セルフケアや耳鼻咽喉科への通院、他の鍼灸院に通っても、なかなか改善に向かわない場合は、一度ご相談ください。
基本は耳に異常がない耳鳴りが対象ですが、かかりつけ医に相談して許可をいただけたなら、耳に異常がある方も鍼灸治療の対象ですので、まずは気軽にご相談ください。
耳鳴りは長引けば長引くほど、鍼の効果も出づらくなります。
少しでも気になる方は、今すぐご相談ください。